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■Chemist JOTARO 中崎城太郎の研究課題
直交型ポルフィリンアレイを用いたスピン機能材料の開発光電子機能材料として知られるポルフィリンに、さらに磁性を組み込むことにより多彩な物性を示させ、ナノスケール分子素子への応用を目指そうという研究です。材料としてこのようなものを選んでいるのには次のような背景があります。
分子内スピン整列は一般的に2種類の「直交する」分子軌道のいずれかに基づいている。ひとつはカルベンのように分子軌道を空間的に直交配向させることである。πラジカルとσラジカルが空間的に直交している場合、強磁性的相互作用が実現しやすい。もう一つの種類のものでは軌道が同一平面上にあるが、定義として直交しているといい、その軌道はエネルギー的に縮退している。こうした軌道の縮退は、分子の対称性やトポロジーに由来するものである。後者の拡張型として、π系上に交互に誘起されたスピン分極によるスピン整列が報告されてきた。このトポロジー的なアプローチによって多様な高スピン分子が得られてきたが、空間的直交によるアプローチはいくつかの例を除けば大きな分子に拡張されることはなかった。 これまでに以下のような論文の形で報告してきています。
Spin Alignment of Orthogonal π-Radicals of Directly meso-Linked Porphyrin Arraysメソ位直結型ポルフィリンアレイの直交型πラジカルのスピン整列
メソ位直結型亜鉛ポルフィリンアレイのポリπラジカルカチオンの高スピン状態をESRで観測した。隣接するπラジカルが、立体的に直交した配向をとっているので、高スピン状態が安定化されていると考えられる。 [瀬川浩司、町田大樹、千秋 裕、中崎城太郎、平川和貴、呉 飛鵬]
Triplet π-Diradical Dication of Directly meso-β-Linked Porphyrin Dimerメソ-β直結型ポルフィリンダイマーの三重項πジラジカルジカチオン
メソ位-β位を直結した亜鉛ポルフィリンダイマーのビス(πラジカルカチオン)の磁気的性質について調べたところ、三重項状態がキュリー則に従うことが分かった。隣接置換基の立体障害により、直交性が向上していると考えられる。 [瀬川浩司、千秋 裕、中崎城太郎、進 公博]
Spin Alignment of Orthogonal π-Radicals of Directly meso-meso Linked Porphyrin Dimer, Trimer, and Tetramerメソ-メソ直結型ポルフィリンダイマー、トライマー、テトラマーの直交πラジカルのスピン整列
[中崎城太郎、千秋 裕、町田大樹、瀬川浩司]
Modulative Magnetic Interaction in π-Diradicals of Directly meso-Linked Porphyrin Dimersメソ位直結型ポルフィリンダイマーのπラジカルにおける磁気的相互作用の変調
[中崎城太郎、千秋 裕、瀬川浩司]
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