このイオンラジカル塩のESRスペクトルをとりましたところ、このように、中性の結晶に比べて線幅が狭いですが、ほぼ同じ位置にシグナルが現れました。異方性も比較的小さいことから、このシグナルは、基本的にNNラジカルに由来するものだと考えられます。強度の温度依存性を見ましても、熱励起に相当するような挙動は見られませんでした。このことから、ドナーの部分にはスピンが生じていないと考えられます。