
先ほど述べたEMPNは、このパラフェニレンの部分があまりにもフレキシブルであるため、結晶性が悪くなっていたと考えられます。そこで、このベンゼン環をドナー骨格に縮環させた、エチレンジチオTTF・ベンゾ縮環ニトロニルニトロキシド、ETBNを設計しました。さらに、分子の対称性がいいほうが結晶性がいいと考えられますので、さらにこのベンゼン環をチオフェン環に置き換えたETTN、さらにN-フェニルピロール型としたEPPNを合成しました。なお、これらの誘導体は、茨城大学理学部の川田先生のグループとの共同研究で合成しました。これらの誘導体は、期待通り、良好な結晶性を示し、いずれもX線構造解析によりその構造を知ることができました。なお、以後はこのETBNを中心に話を進めていきます。
