これまでに、有機磁性導体を目指した研究は、いくつか報告があります。一つは、有機ドナーからなる導電体のカウンターアニオンとして磁性金属イオンを導入したものです。あるいは、有機ドナーにTEMPOラジカルをつないだドナーラジカルも報告があります。しかし、磁性金属イオンとドナーは何もつながれていませんし、TEMPOラジカルの場合には、つながってはいますが、飽和結合で結ばれているため、ラジカルのスピンと、ドナー部位に生じたスピンとの間に、ほとんど相互作用がないという難点があります。